久しぶりに取り出したバッグが、しまい込んでいるあいだにへたっていた。底が波打っている、自立していたはずが横に倒れる、持ち手の付け根がよれている。こうした型崩れを見つけると、もう売れないだろうと判断して処分に回してしまう方は少なくありません。
ただ、編集部で買取の仕組みを整理してきた立場から言えば、型崩れを理由に自分で売れないと決めてしまうのは早すぎる場合があります。二次流通の世界では、状態が万全でないものにもそれぞれの受け皿があり、傷みの種類によって扱いが大きく変わるためです。
この記事では、型崩れをはじめとする傷みの種類ごとに査定でどう見られるかを整理し、値段がつきやすいケースとつきにくいケースの分かれ目を説明します。あわせて、自分で直そうとしないほうがよい理由と、修理してから売るべきかどうかの判断材料もまとめます。
型崩れしたバッグでも査定は受けられる
まず前提として、型崩れがあるバッグでも査定そのものは受けられます。買取の受付段階で状態を理由に断られることは、極端に傷んだ一部のケースを除けばあまりありません。宅配買取であれば送ってみて判断してもらう、店頭であれば持ち込んで見てもらう、という流れになります。
その背景には、二次流通の販路が一つではないという事情があります。店頭やオンラインで一般のお客さまに販売する道のほかに、業者間のオークションに流す道、修理やクリーニングを施してから販売する道、部材として活用する道があります。どの販路を持っているかは会社によって違い、それが同じバッグでも金額が割れる理由の一つになっています。相場が決まる仕組みについてはバッグ買取の相場はどう決まるかの記事で詳しく整理しています。
つまり、自分の目から見て商品として並べられない状態でも、業者側には別の出口があるかもしれない、ということです。とくにブランドバッグの場合、この差が結果に出やすい傾向があります。
傷みの種類ごとに査定での見られ方は違う
ひとくちに状態が悪いといっても、内容によって評価への影響は変わります。主な傷みを整理すると次のようになります。
| 傷みの種類 | 査定への影響の傾向 | 備考 |
|---|---|---|
| 型崩れ、底の波打ち | 影響はあるが軽いことも | 詰め物や整形で戻る場合がある |
| 角スレ、擦り切れ | 影響が出やすい | 目立つ位置ほど響く |
| 内袋の剥がれ、ベタつき | 影響が出やすい | 素材の経年劣化によるもの |
| カビ、しみ | 影響が大きい | 範囲と定着の度合いによる |
| 強いにおい | 影響が大きい | 除去の可否で扱いが分かれる |
| 金具の破損、持ち手の切れ | 影響が大きい | 部品交換の可否で変わる |
型崩れそのものは比較的軽いことがある
意外に思われるかもしれませんが、型崩れは傷みのなかでは回復の余地が残っている部類です。長期間、上に物を載せて保管していた、詰め物を入れずにたたんで置いていた、といった原因であれば、内部に形を保つ詰め物を入れて時間を置くことで、ある程度整うことがあります。革の繊維が完全に切れているわけではなく、癖がついているだけという状態です。
ただし、底板が折れている、芯材が割れている、革そのものが伸びきっているといった段階まで進むと話は変わります。この場合は構造の問題なので、見た目の印象以上に評価へ響きます。
角スレは位置と面積で見られる
四隅の擦れは、持ち歩いていれば避けにくい傷みです。査定では、擦れが下地まで達しているか、色が抜けているだけか、面積はどのくらいかといった観点で見られます。持ったときに正面から見える位置ほど影響が大きくなる傾向があります。査定で見られる箇所全般については査定のポイントを整理した記事もあわせてご覧ください。
内側の劣化とにおいは軽視されない
外側がきれいでも、内袋が剥がれて指に付く、合成皮革がベタついている、という状態は評価に響きます。これは経年による素材の分解で起きるもので、時間が経つほど進みます。においも同様で、たばこ、香水、湿気のこもったにおいは、次に使う人の使用感を左右するため重く見られます。
値段がつく可能性があるケース
状態が良くないバッグでも、次のような条件があると扱いが変わることがあります。
- 需要が続いているブランドの定番ラインである
- 現在は生産されていない型や素材である
- 金具や鍵、チャーム、ストラップなどの部材が揃っている
- 傷みが一か所に限られ、ほかの部分は保たれている
- クリーニングや修理で改善が見込める種類の傷みである
いわゆるジャンク扱いになったとしても、値段がつかないと決まったわけではありません。修理を前提に仕入れる需要や、部材として使う需要が存在するためです。ただし、こうした需要をどれだけ拾えるかは会社の販路によります。傷んだものを扱い慣れているところと、状態のよいものを中心に扱うところでは、同じバッグへの反応が違ってきます。総合店と専門店の性格の違いは総合リユースとブランド専門店の違いを扱った記事で整理しています。
自分で直そうとしないほうがよい理由
査定に出す前に少しでも見栄えをよくしたい、という気持ちは自然なものです。ただ、自己流の補修は結果を悪くする方向に働くことが多いというのが実情です。理由は三つあります。
元に戻せない変化が加わる
市販の補色剤やクリーナーは、素材との相性が合わないと色ムラや質感の変化を招きます。革の表面の仕上げが溶ける、艶が不自然に出る、といった変化は元に戻せません。もともとの傷みなら経年として説明できるものが、手を入れた結果としての不自然な状態になると、かえって評価が下がることがあります。
専門の設備でなら回復できたかもしれない
買取後にクリーニングや補修を施す前提で仕入れる会社もあります。その場合、素人の手が入っていない状態のほうが作業の見通しが立てやすく、扱いやすいと判断されます。中途半端に接着剤や塗料が入っていると、そこを取り除く工程が増えるため不利になります。
カビとにおいは処置を誤ると広がる
カビを見つけたときに、濡らした布で強くこする、消毒用の薬剤をかける、といった対応をすると、革に水分が入り込んでしみになったり、菌糸を奥に押し込んでしまったりします。においについても、消臭スプレーを大量にかけると水分と香料が残り、状態を複雑にします。乾いた柔らかい布でほこりを払い、風通しのよい日陰で湿気を抜く。この範囲にとどめておくのが安全です。手入れの範囲については売る前のバッグの手入れの記事で詳しく扱っています。
修理してから売るべきかどうかの判断
専門の修理店に出してから売れば高く売れるのではないか、という発想もあります。結論から言えば、多くの場合はそのまま出したほうが差し引きで無難です。
理由は、修理にかかる費用と、修理によって上がる査定額が釣り合うとは限らないためです。買取をおこなう会社は自社の取引先で修理をおこなえることが多く、個人が修理店に依頼するより低いコストで仕上げられます。個人が支払った修理費がそのまま査定額に上乗せされるという関係にはなりません。
また、ブランドによっては純正の修理を経ていることが評価される一方、社外での修理歴は説明が必要な要素として扱われる場合があります。どちらに転ぶかは事前に読みにくいところです。
例外として検討する余地があるのは、次のような場合です。修理に出す前に、その状態のまま一度査定を受けて金額感を確認しておくと、判断の材料が増えます。
- そのバッグを今後も使い続ける可能性が残っている
- ブランドの正規サービスで修理を受けられ、記録が残る
- 破損が安全に関わる部分で、そのままでは扱えない
傷みがあるバッグを査定に出すときの伝え方
状態に不安があるほど、事前の申告が大切になります。写真査定や事前見積もりの段階で傷んだ箇所を隠すと、本査定で金額が変わり、納得しにくい結果になります。あらかじめ次の点を伝えておくと、話が食い違いにくくなります。
- 型崩れやスレのある位置と、おおよその範囲
- 内側の剥がれやベタつきの有無
- においの有無と、感じられる種類
- 過去に修理やクリーニングをしたことがあるか
- 保管していた場所と、しまっていたおおよその期間
写真を送る場合は、全体像に加えて傷んだ箇所を近くから撮ったものを添えます。明るい場所で、実物の色に近く見える状態で撮るのが基本です。傷みを隠すより、正確に伝えたほうが結果的に手続きが早く進みます。
また、状態が良くないバッグほど、会社によって反応の差が大きくなります。一社で値段がつかなかったからといって、どこでも同じとは限りません。返送料の条件を確認したうえで、いくつかに見てもらう進め方が現実的です。
まとめ
- 型崩れがあっても査定は受けられます。販路が複数あるため、自己判断で処分に回す前に見てもらう価値があります
- 傷みの種類によって影響は違い、型崩れは回復の余地が残る一方、カビやにおい、構造の破損は重く見られる傾向です
- 自己流の補修は素材を変化させるおそれがあり、乾拭きと湿気を抜く程度にとどめるのが安全です
- 修理してから売るかは費用対効果が読みにくいため、まずそのままの状態で金額感を確認してから決めるのが無難です
状態に不安があるバッグほど、返送料やキャンセルの条件を確かめてから出し先を決めたいところです。条件を並べて見比べられると、無理なく相談できるサービスが見つけやすくなります。
